相続した土地をできるだけ高く売る方法6選

相続した土地をできるだけ高く売る方法6選

記事執筆日:2024年8月14日(水)

最終更新日:2024年9月17日(火)

文責(執筆):宅地建物取引士 野村 篤司

「土地を高く売りたい」とお考えの方は、ぜひ本記事をお読み下さい。

「相続した土地をできるだけ高く売りたい」と考える相続人は少なくありません。その背景として、相続税の負担が発生していたり、遺産分割協議段階で預貯金の割合が多くなりそうな状況であったり、理由は様々です。本記事では、「土地を高く売りたい」とお考えの方に対して、土地が高く売れる方法をいくつかご紹介させて頂きます。なお、「不動産」には、家屋や土地、集合住宅(マンション)や収益物件(貸マンション等)や農地・山林など、様々な種類がありますが、ここでは最も取引ニーズの多い「市街化区域内の住宅用地」を念頭に記述しております。少しでも参考になれば幸いです。

 

1.売却期間を長めに設ける(売り急がない)

「売買」というのは、当たり前ですが、「買い手」が存在して初めて成立します。「買いたい人」「買ってくれる人」がいなければ、取引は成立しません。

 

買い手となる「不動産会社(業者買取)」であれば、一年中、物件の仕入れを行っておりますが、エンドユーザー(土地を購入して建物を建てようとする直接の施主)が多く存在するかどうかは、やはり買い希望者が多くなる「タイミング(時季)」があります。住宅用地の売買は、建売業者が購入する場合を除いては、「子育て世帯」による「戸建て(マイホーム)需要」がほとんどですが、「遅くとも2月末日までには住み始めたい」という方が多いです。これは、小学校入学や中学校入学のタイミングに合わせていることが多いです(転校を避けたいため)。

 

となると、建築期間(工期)が標準的な大きさの建物で請負契約締結から引き渡しまで3~4か月、その前の建築設計期間が概ね3~4か月と考えると、「遅くとも住み始めの6~7か月前には、土地を仕入れておきたい」買主候補者が多いです。具体的には、2月末までの引っ越しを目指そうとすると、「前年の7月~8月あたりまで」には土地を決めたいとお考えの施主が多いです。この時期から外れたとしても売れないわけではないですが、できるだけこのころに売却できるように念頭に置いて、「条件に見合う買主希望者が多く現れるタイミングをできるだけ待つ」ことが1つめのポイントです。このような時期を過ぎると、買主希望者が少なかったり、いても急いでいなかったりするので、お財布の紐が固くなりがちだからです

 

但し、大手不動産情報サイトなどで、売却情報が一般に公開されてから「概ね3か月以上」経過すると、「何か問題があって売り残っているのかもしれない」と勘繰られ、敬遠される可能性も高くなります。そのため、あまりに長期間売却活動を行うことも避けた方がいいでしょう。売り急がず、かといって間延びしないような「計画的な売却活動」がポイントです。

 

2.「現況」を「買い手目線」で整える

「ボロボロの空き家がある土地」と「建物が解体された後の整地された土地」と比較して、どちらが買い手が付きやすいかという点です。土地購入者は、新築の家をどう建てるかを「イメージ」して購入を決めますので、「現状」が少なからず影響します。また建物が残っているような場合や土地測量を終えていない状態では、買い手としては「解体費用の負担がどれくらいかわからない」「自分が依頼した解体業者と隣家とで揉めないか心配」「境界を巡って争いがあるかも」などの不安が生じてしまいます。売主側としては、できるだけ「現況」のまま引き取ってもらいたいとお考えかと存じますが、「高く売る」ことを希望するのであれば、「更地」の方が売りやすいと言えます。

 

3.土地の評価を下げている「マイナス評価」を分析する

これは仲介を依頼する不動産会社の業務の1つでもありますが、土地の評価を下げている点を分析し、できるだけその悪影響を取り除くことが、高く売る方法の1つです。例えば、なかなかすぐに解決はできないかもしれませんが、「隣が空き家になっていて、崩れてきそう」だとか、「接道幅が狭い」などです。前者のような事例では、隣地所有者に働きかけて、空き家の取り壊しを進めてもらうなどのアプローチを行います。後者であれば、隣地所有者と相談して、土地を一部切り分けてもらう(買う)などです。土地によって、このような対応ができるかどうかは、個別事情によりますが、「何が買い手にとってのハードルになっているのか」を分析し、そういったマイナス評価になる点を取り払うことが高く売る方法の1つとなります。

 

4.不動産会社の仲介手数料を値引いてもらう(=手残りが増える)

これは「高く売る」というよりも、「手残りを増やす」方法ですが、例えば、「5000万円」の宅地があった場合、一般的な不動産会社の仲介手数料は、「税込171万6,000円(売買価格×3%+6万円+消費税)」が「宅建業法上の上限」となります。これは、法令上の「上限」になっていますが、ほとんどの不動産会社の仲介手数料はこの上限で設定されています。この仲介手数料を例えば半額にしてもらえるなら、売買代金が5000万円の事例では、855,000円もの手残りが増え、実質的に高く売れたことと同等の経済的利益を得ることとなります。中古の普通自動車なら買えてしまいますね。

 

なお、不動産会社とのトラブルにならないように、不動産会社へ仲介を依頼する際に、仲介手数料についてはしっかりと書面で合意するようにしましょう。またあまり「手数料の値引き」を要請し過ぎると、不動産会社側のモチベーション低下に繋がり、積極的な販売活動をしてもらえない可能性もあります。なお、当初は値引きに応じてくれなかった場合でも、「不動産会社が提示した査定額より低い価格で買い付けの話が来た場合に、その低くなった分に応じた手数料を値引きしてもらえないか」交渉するのは効果的(※もちろん合意してくれるかどうかは不動産会社次第で、契約が優先)です。

 

もちろん後からの値下げ要請は合意違反になるのでNG行為です。

 

5.「建築プラン」と共に提示する(※不動産仲介会社にて対応)

5点目は、「建築プラン」と共に提示するという手法です。これは、不動産会社ではない売主が対応するのは困難ですので、不動産仲介会社が建築メーカー等と協力して進めなくてはなりませんので少し高難度です。「買い手」は、土地を購入する際に、土地の値段だけをみて買うわけではなく、建物の建築費用や諸経費、住多ローン金利等のいわゆる「総予算(総支払額)」を見て、マイホーム計画を立てます。つまり、建物の予算が膨れあがらうと土地予算は下がり、金利が上がると、建物も土地も予算が縮小する関係にあります。建物については、「どうしても大手ハウスメーカーで建てたい!」という買い手に対してはあまり効果はありませんが、「地場の工務店なら、こういった建築プランを●●●●万円で建築可能です」などのプレゼンを行うことで、「それなら、割高だとは思うけど、ここの土地でもいいかな」となることが期待できます。

 

6.売主側だけに寄り添う「片手仲介」の不動産業者をできるだけ選ぶ

日本においては、民法で「双方代理」は民法第108条にて規制(無権代理になる)されています。

 

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(自己契約及び双方代理等)
第百八条 同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
2 前項本文に規定するもののほか、代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

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ところが、不動産仲介会社の業務は、あくまで「媒介」であり「代理ではない」ので、売主と買主の双方の立場に立って媒介契約を締結し、1つの売買契約を成立させること自体は、合法とされています(違法ではない)。しかし、売買価格が下がれば、買主が得をする一方で、売主は損をします。反対もまたしかりで、このような「利益相反関係」と言える状況がどうしても存在してしまいます。

 

そのため、高く売る方法の6点目として、「両手仲介を行わない不動産会社に依頼する」ことが高く売る方法の1つに考えられます。なお、「両手仲介」のメリットもある(不動産会社を介して間接的にやり取りしやすいので交渉がまとまるスピードは速い、売主又は買主の人柄等の情報が得やすいなど)ため、何を重視するかで選ぶようにすると良いでしょう。当社では、お客様の希望に応じて、両手仲介をすることもあれば、しないこともあります。お気軽にご相談ください。

 

なお、専属専任媒介契約又は専任媒介契約を締結した場合に、不誠実な不動産会社ですと、いわゆる「囲い込み」行為をする場合があります。これは、買い付けの話が他社の不動産会社経由で来ているにもかかわらず、他社だと買主側からの媒介手数料をもらうことができないため、そういった買い付けの話を断ってしまう不正行為です。「両手」取引を行う不動産会社に依頼した場合には、このような行為をしないか注意をするようにしましょう。

 

いかがでしたでしょうか。「高く売りたい」というご要望はとてもよくわかりますので、そういった売主様からのご要望を当社では尊重しております。高く売れるかどうかはお約束できませんし、そのような表記をすることも法規制上出来ません。ひとまず「これくらいが相場です」という「売却物件査定」は、無料で承っておりますので、お気軽にお問合せ下さいませ。